2022/04/28
院長です。
この度、私は冬期間の間に大きな過ちを犯してしまいました。
私は、診察で下痢をしている柴犬さんと出会いました。当初、下痢症への治療をしていましたが、なかなか完治に至らず、血液検査をして発見した少しの糸口だけでX線検査やエコー検査といった当院にある画像診断をする事なく、投薬治療を継続してしまいました。最終的にこの柴犬さんは他の病院様で腸に癌が見つかり、すでに悪化した状態で、治療をされるも今月初旬に6歳という若さで亡くなってしまいました。
私はこの投薬治療の中盤あたりから、消化器に癌がある子には使ってはいけない薬剤を腸の消炎目的で使っておりました。それが病態を悪化させ、ひいては癌を拡げてしまったのです。
そもそも難治性の下痢に遭遇した時に、どういう治療プロセスを踏まなければいけないのかという足元が全く見えずに、不完全な検査内容と目先の症状だけで禁忌とされる薬剤を使ってしまった事は弁解の余地がございません。今回の事態の一番の原因はそこにあります。まして、ご家族様に他の可能性を探るための手段としての画像診断等のご紹介もせず、ただ凝り固まった考えだけで長い期間柴犬さんとご家族様を苦しめてしまい、大切な命を奪う形にしてしまったのです。誠に申し訳なくお詫びの言葉もございません。
私自身の知識・認識不足もさることながら、診療時の疾病に向き合う姿勢にも問題があったのではないかと思います。優先すべき事を見失い、提供できる情報も提供せず…これでは本末転倒です。失格です。
このような事態を二度と起こさぬよう、自身の気持ちにゆとりを持ち、病気に対し真摯に向き合い、自身が所有している検査機器をもっと駆使して客観的情報をきちんと提供し、病気の根源追求をさらに強化して皆様に少しでもご信頼いただけるよう精進致します。
それが今私ができる、柴犬さんとご家族様への償いと思っております。
この場で改めて柴犬さんのご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご家族様へ深くお詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。